サービス残業が辛くて看護師を辞めたい!経験者が語る対策とおすすめの転職先

[公開日]2018/10/04[更新日]2018/10/11


「看護師をしているけど、サービス残業が多すぎてもう辞めたい」
「サービス残業が少ない病院はどうやって選べばいいの?」
「サービス残業が少ない診療科ってどれ?」


私は約20年間総合病院で看護師をしていました。

働いていた時は、「お金はいらないからとにかく時間で帰りたい!」、「もっと患者さんとかかわる時間を持ちたい!」と不満ばかりで、体調も崩しがちでした。

あなたも、「サービス残業は辛いし、やめたい!」という昔の私のような状況に陥っていないでしょうか?

私がサービス残業が続く毎日にどのような対処をしたのか、またこれからどうすべきなのかお伝えしていきます。

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執筆者:筒井 恵美
看護師

看護師歴20年。地方総合病院の消化器外科、血液内科等で勤務経験を持つ。




看護師がサービス残業をしやすい3つの理由と対処法



看護師がサービス残業をしてしまうケースとしては、私の経験から考えて以下の3パターンです。

ここでは、それらの残業を私の体験談とともに説明していきます。

看護師がサービス残業してしまうシチュエーション
1、就業時間より早く出勤する「前残業」
2、勤務時間外に行われる「院内研修」
3、研修の準備を自宅に持ち帰ってやる

就業時間より早く出勤する「前残業」


前残業とは、朝早くに病院に出勤して仕事を行うことで、私も8:30始業で、7時には病棟に入ってこっそり前残業をしていました。

前残業を行う理由は、自分の受け持つ患者さんの情報収集や点滴、注射の準備などを勤務初めにある申し送りまでに終わらせなけらばならないからです。

前残業を減らすための対策と有効活用方法
①担当したい受け持ちを希望し、明日の予定を立てやすくする
積極的な理由ならリーダーも通してくれます
②前超勤の時間に、当日助けが必要そうな業務を他の看護師に伝えておく
その日の勤務帯の看護師が全員揃う貴重な時間なので有効活用

担当したい受け持ちを希望するのは、予定が立てやすくなるのでオススメです。

例えば「抗がん剤の投与の経験を積みたいので、その抗がん剤投与予定の患者さんを受け持ちたい」とリーダーに伝えたとします。

その患者さんがいる部屋を担当につけてもらえれば、「明日はあの抗がん剤があるからこういうスケジュールで仕事をしよう!」と心つもりもでき、朝慌てなくて済むのです。

勤務時間外に行われる「院内研修」


独身時代は仕事が楽しくて、時間もたくさんあったので、院内研修はそこまで苦ではありませんでした。

しかし、結婚して育児を始めると、院内研修がある日は、延長保育代を払って、保育時間ギリギリにお迎えに行くような状況になりました。

もっと遅くなりそうなときは夫に保育園のお迎えを頼むなど、家族を巻き込むことの負担が大きくなってしまいました。

長引く院内研修と家庭を両立するための工夫
①頼める仕事は早めにフリーの看護師に依頼する
仕事終わりにそのまま研修に行けるように事前準備
②研修の日は受け持ちを持たない配置にしてもらう
看護記録を書かなくて済むようなフリー看護師やリーダーなどにつく
③タイマー付きの家電を最大限活用
炊飯、お風呂などを事前にセットし帰宅後の家事を減らす
④帰宅後に温めればすぐに食べられるメニューを用意する
カレーライスや麻婆豆腐など

このように他の看護師に協力してもらったり、家事の工夫を行って、なんとか家庭との両立を図っていました。

研修の準備を自宅に持ち帰ってやる


新人でも役職がついても、病院での看護業務以外の仕事は自宅へ持ち帰ることもよくあります。

持ち帰った仕事をしなければならないために、休日もずっと仕事をしているなんてこともあるのです。

自宅に仕事を持ち帰らずに済む工夫
①他の人のチェックが必要なものはメールでやりとり
ちょっとした空き時間にパソコンでチェックできるように
②カンファレンスの時間にグループ活動の課題を検討
③前超勤を自分の持ち帰り仕事をこなす時間に活用
早番、遅番などはフリーで動くことがほとんどだった
④夜勤のメンバーで協力して時間を作る
夜勤の時は落ち着いていれば持ち帰り仕事がはかどる

自宅に持ち帰るような仕事は、実は結構時間がかかるので負担が大きかったのですが、このような工夫を組み合わせることで何とか乗り切っていました。

看護師の残業の現状

現在、「時間外勤務手当の不払い」や「始業時刻前に開始する業務(前残業)・勤務時間外の研修・持ち帰り仕事など時間外勤務として扱われていない業務がある」といったことが実際に問題視されています。
※日本看護協会「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」(2008)

現在も総合病院で現役で働いている同期の声を聴くと

「人手不足で育休を前倒しで復帰しなくてはいけない」
「役職が付くと、休みの日に院外の研修に行かないといけない」


…など、まだまだ改善されていない部分もあるようです。

逆に、クリニックへ転職した後輩は「きっちり時間で帰れるから疲れないし、健康のために自転車通勤してダイエットしています」と話していました。

参考:日本看護協会 協会ニュース日本看護協会ホームページ

看護師が辞めたいと思うサービス残業の悩みと対策



多くの看護師がサービス残業をしていて、辞めたいと感じる時はどんな時でしょうか?その悩みとサービス残業の状況を改善する対策についてお伝えします。

看護師が辞めたいと感じるサービス残業の悩み

①残業代がつかない
働くモチベーションが下がる
②定時に帰りづらい
残業が当然という雰囲気がある
③新人は仕事が遅いのでサービス残業して当然という雰囲気
指導の後の看護記録でさらに居残り
④疲れが取れず体調を崩しがち
夜勤や残業で休めず、生活が不規則

このような状況では、辞めたいと感じてしまうのも当然ですよね。

サービス残業の現状を相談することが大切

あまりにもサービス残業の状況がひどい場合は、現状を然るべきところに相談してください。

病院の労働組合に相談する
総合病院など、大きな組織であれば労働組合があり、職場からも代表を出すような仕組みがあるのではないでしょうか。

私は労働組合といえば福利厚生のことで事務所に行くことがほとんどでしたが、労働組合に行くと組合の人から

「今日は夜勤明け?最近は早く帰れる?」
「職場会は立派な超勤だから、ちゃんと申請してね」


などといった声掛けがありました。

現場の具体的な声がきっかけで現状を調査し、残業の状況や有給の消化率などの内容を病院に働きかけてくれるのが労働組合の役割です。

深刻になる前に、こまめに現状の不満を知ってもらうことは気持ちも楽になりますし、多くの声が集まれば改善案につながっていきます。

労働基準監督署に相談する
全国に321署ある労働基準監督署に相談する方法もあります。

しかし、個人的に直接出向いて相談するのはハードルが高いのではないでしょうか。

電話で相談できる「労働条件相談ほっとライン」というサービスがあるので、気軽に電話相談ができます。(携帯電話・PHSからも利用可能)

労働条件相談ほっとライン
0120-811-610
平日(月~金):午後5時~午後10時
土・日:午前9時~午後9時
※年末・年始12月29日~1月3日は除く。

【労働基準監督署の役割】

サービス残業で退職を決断したら?病院を辞める手順



サービス残業に対する様々な対策をお伝えしましたが、どうにもならないくらい追い詰められてしまったという人もいると思います。そこで、最終手段として、退職する時の流れをまとめました。

看護師を辞める手順

①看護師としての働き方を考えておく
・まずは休養をとり、今後についてじっくり考える
・同じような条件で復帰するのか、違う分野で働くのか
・休養の間に失業保険の受給資格や期間についても調べる

②上司に相談する
・病院も次の人材の採用準備があるので早めに
・引き留められても、自分の気持ちをきちんと伝える

③退職日を決める
・一般的には年度末、無理な場合は月末付
④仕事の引継ぎをする
自分がいなくなっても困らないように

仕事の引き継ぎでは以下のような準備をしておきましょう。

・過去に担当した患者さんの情報をマニュアルに沿って刷新しておく
・委員会の活動内容や職場の課題などをまとめておく


患者さんの引き継ぎは丁寧に!
特に患者さんは今まで築いてきた関係を次の担当看護師と築く必要があるので、不安や不信感を与えないように、コミュニケーションを取って、引き継ぐとよいでしょう。

私の場合は透析が最終職場で付き合いの長い患者さんが多く、次に誰が担当するのかも気にされていたので、患者情報をまとめたものを患者さんにも開示して、患者さんの前で次の担当者に申し送りをして引き継ぎをしました。

看護師のサービス残業が少ないのは?おすすめ診療科とNG診療科



万全に準備して円満に退職したのに、継ぎの職場でも同じようにサービス残業に悩まされてしまっては意味がありません。残業が多い診療科と残業が少ない診療科について知っておきましょう。

サービス残業が多くなりがちなNG診療科

1位 救急外来
・予定通りの来院は無いので必然的に多くなる
・事件事故なら事務的な手続きもあり、業務が多い

2位 脳神経外科
・集中管理が必要な手術が多い
・介助や記録など業務量が膨大

3位 循環器科
・全身状態のモニタリングが欠かせない
・臨機応変な対応が求められ、業務量多い

これらの診療科に転職すると、同じようにサービス残業の多さに苦しむことになりやすいので、避けたほうが良いでしょう。

残業が多い科の特徴
①手術件数が多い
看護師の業務が増える大きな要因
②緊急対応がある
定時を過ぎても対応必須
③せん妄、機能障害といった患者状態の変化がある
片時も目が離せず、人員がとられる
④処置量に対し人手が不足している
緊急対応で突発的に人手不足になることも
⑤退院調整が必要
時間が多く奪われる

残業が多い科には以上のような共通点があります。残業の多さを考える時の参考にしてみてください。

サービス残業が少ない傾向にあるおすすめ診療科

1位 精神科
医療処置が少なく、それに伴う業務や記録も少ない
2位 皮膚科
褥瘡などに使用する皮膚保護材が改善され処置が少なくなった
3位 泌尿器科
患者さんの自立度が高く、ケアの量が少ない

以上のような診療科を狙って転職をすれば、サービス残業に苦しむ確率が低くなるでしょう。

残業が少ない科の特徴
①患者さんが自立しており、ケアの必要が少ない
看護師の支援が減り、ほかの仕事へ時間を回すことが可能
②医療処置が少ない
看護師の負担が少なくなる
③患者さんの状態が安定しており、変化が少ない
予定通りの仕事だけで勤務を終えやすい
④入退院が少ない
入院時の書類、聞き取り、説明などに時間を取られない
⑤退院調整が必要
時間が多く奪われる

以上のような要素を持っている診療科は残業が少なくなる傾向にあります。

業務量の少なさはもちろんですが、緊急性のある業務が起きにくい診療科を選ぶことがカギですね。

サービス残業のない看護師求人を探すには?私が試した4つの方法



私が退職を決めて求人を探すにあたって、まず以下の4つの方法で求人を探しました。

①各病院のウェブサイト
②ハローワーク
eナースセンター(都道府県看護協会の求人サイト)

④看護師専門の転職サイト

看護師専門の転職サイトはあまり登録したくなかったのですが、一番良かったのは看護師専門の転職サイトでした。その理由を紹介します。

看護師専門の転職サイトを使って良かった理由

①求人票に書いていない情報がわかった
サービス残業の実態がわかった
②自分のキャリアで何がアピールできるのかわかった
浅いキャリアの自分でも自信が持てた
③自分で探しても見つからなかった好条件の求人と出会えた
非公開求人には魅力があった

サービス残業で悩まされた職場を経験して「求人票」を信用できなくなっていた私は、求人票だけで応募を決めることができず、なかなか転職活動が進められずにいました。

しかし、キャリアアドバイザーから情報をもらえ、細やかに相談に乗ってもらえたことで、自信を持って転職活動を進めることができたと思います。

求人票だけではわからない情報は匿名で質問してくれる
転職サイトのキャリアアドバイザーの人は聞きにくいことも匿名でなんでも聞いてくれたので助かりました。例えば、こんな内容も病院にどんどん尋ねてくれます。

・残業はどれくらいあるのか
・支払われている残業代の金額
・私に予定される基本給や夜勤手当の金額
・昇給の可能性や金額
・どの病棟・どの科への配属を考えているか


もうサービス残業で苦しみたくないので、残業については特に細かく尋ねたと思います。

転職サイトに登録してから、一人で転職活動をしていたときとは比べ物にならないくらい情報量が増え「行きたい」と思える病院にどんどん出会えるようになりました。

自分のキャリアの中でアピールできるポイントが分かる
また、キャリアが浅く自信が持てなかった私の過去の経験を紐解いて聞いてくれて「こんなことがアピールになるんだ」と目からウロコでした。

私は「サービス残業が嫌だから転職する」と自分で思っていたのですが、「看護師の仕事を長く続けて、スキルアップしていきたい」というのが根本的な理由であることにも気づくことができました。

このように、自分が転職する際に何を伝えれば良いのかがハッキリ見えたことが、一番のメリットだったと思います。


サービス残業のない求人が見つかる看護師専門転職サイト3選



退職するのであれば、また同じ失敗を繰り返さないようにサービス残業が少ない病院を選ばなければなりません。

そのためには、看護師専門の転職サイトを使って、たくさんの求人情報を調べることが大切です。

看護師の転職サイトを選ぶポイントは以下の3点です。

手厚い転職サポート体制があるか・・・看護師の転職では専属のキャリアアドバイザーを活用できるかが重要
公開求人件数が多いか・・・非公開求人もあるので完全にはわからないが取扱求人件数の目安になる
信頼できる会社が運営しているか・・・求人、キャリアアドバイザーの質に影響する可能性がある

これらの点を踏まえ、私が登録して「良かった」と感じた転職サイトを紹介します。どのサイトも登録は無料です。


サイト
総合評価
転職サポート
公開求人数

担当者と
2人3脚

現場知る担当に
会って相談

約2万5000件

求人数多く
担当も経験豊富

面接・書類対策
手厚く支援

約9万件

求人は少ない
大手のサイト

専属担当が
対策/交渉支援

約7500件

差別点欠ける

専任担当が
求人を紹介

約1万5000件


なるべく多くの求人情報と触れたり、より自分に合ったキャリアアドバイザーを見つけるためにも、必ず2社以上の転職サイトに登録するようにしましょう。

それでは、特に登録をオススメできる、登録してよかった看護師転職サイトについて紹介します。

マイナビ看護師マイナビ看護師は公開求人数が多い上に、看護師専門のキャリアアドバイザーが直接会って相談に乗ってくれました。

もちろん、まだ転職を決断していない状況でもカウンセリングは受け付けてくれるので、まずは今の残業過多の悩みを相談してみるところからスタートしてください。

担当のキャリアアドバイザーは何度も病院に足を運び、細やかな情報も多く持っているので、すごく参考になる話をたくさん聞けました。自分に合った転職先を見つけられそうだと感じ、頼もしかったです。

「マイナビ看護師」は絶対に登録しておいた方が良いサイトだと思います。

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ナースではたらこ「ナースではたらこ」を運営している「dip」は求人の専門会社です。地域別の求人情報に精通したエリア担当者が担当してくれます。

各担当者は転職支援のプロなので、履歴書・面接対策、入職後のフォローまでサポートしてくれました。

「ナースではたらこ」は求人情報の数が多いので、サービス残業が少ない病院と出会うためにも登録しておいたほうが良いサイトだと思います。

登録から実際の転職支援まで、すべてのサービスは無料です。まずは登録して求人をチェックしてみると良いでしょう。

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「ナースフル」は「リクナビ転職」や「はたらいく」などでおなじみの「リクルート」が運営する看護師のための転職サイトです。

公開求人の数は少なめですが、ナースフルは非公開求人も多く持っています。担当者に自分のこれまでの経験や希望条件を詳しく伝えると、自分に合った非公開求人を多く紹介してもらえました。

転職業界大手のリクルートのキャリアアドバイザーから面接対策や志望動機の設定の仕方などを教えてもらうことができたのも良かったです。登録しておいて損はありません。

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サービス残業が辛くて辞めたい看護師は転職も考えてみよう


サービス残業が辛いから、今の病院を辞めたいと考えている方も多いと思います。

仕事のやり方を工夫することでサービス残業の時間を減らすことだってできますがそれでもサービス残業はなくならないでしょう。

本当にサービス残業が多くて辛いと思っている方は他の診療科や病院への転職も検討してみましょう。