総合病院の呼吸器科はキツイ?現役看護師がリアルな仕事内容と年収公開

[公開日]2019/02/19

総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容
「呼吸器科ってどんな仕事内容?」
「呼吸器科は精神的に疲れるって本当?」
「呼吸器内科と呼吸器外科の違いって何?」


筆者は「外科の看護をしたい」という希望があり、呼吸器外科の看護師になりました。呼吸器科の看護は一言でいうと、患者さんの人生の一部に深く関わりが持てる環境です。

一方で、終末期の患者さんを看取るため、人によっては精神的にキツイ部分もあります。

この記事では、総合病院の呼吸器科の仕事内容や年収などについて紹介します。



総合病院の呼吸器科看護師の仕事って何をするの?


総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

呼吸器科にも内科と外科が存在しますが、その違いは肺の病気に対して保存的に治療を行うことが内科、手術が対象となる場合は外科に分類されます。

それでは、内科と外科の詳細を詳しく解説します。

呼吸器内科、呼吸器外科はそれぞれどんな仕事をするの?

呼吸器内科と呼吸器外科で共通の仕事内容
①バイタルサイン測定、身体状態の把握やアセスメント
②患者さんと家族の精神的なフォロー
③抗がん剤治療や放射線治療を行っている患者さんの看護
④終末期やお看取りの看護
⑤人工呼吸器を使用している患者さんの看護
⑥急変時の看護

呼吸器科で共通して重要な事は、急性期・回復期・終末期と幅広いステージにいる患者さんの看護を行うことです。

各ステージにいる患者さんの病状や精神面を理解して対応する必要があります。

実際、元気に退院していく患者さんを見送ってから、その後お看取りとなり死後の処置をするといった場面があるのです。

看護師の気持ちの切り変えが必要なため、新人の頃は苦労しましたが、現在は幅広いステージにいる患者さんの看護を臨機応変にこなせることができました。

呼吸器内科の仕事内容
総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

呼吸器内科特有の仕事内容
①患者さんがストレスを感じないように配慮する
②呼吸器疾患を持ちながら入退院を繰り返しているため退院後の生活にも着目する必要がある
③糖尿病や心疾患など他の病気を持ていることがあり、呼吸器科以外の検査や処置を必要とすることがある

長期入院患者へのケアは大切
呼吸器内科ではADLが自立し、入院期間が長い患者さんが多いため、患者さん同士のトラブルが見受けられました。

大部屋の場合患者さんとの会話は筒抜けになってしまうため、他の患者さんへ配慮が必要です。

長期化する入院生活がストレスとならないように、看護師は会話する際の声量や、個人情報の配慮、病室内での人間関係の配慮も重要なのです。

呼吸器外科の仕事内容
総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

呼吸器外科特有の仕事内容
①高齢者の患者さんのせん妄への対応
②術前・術後の看護(術前の呼吸訓練の説明、ドレーンの管理、術後創部の観察や処置の介助)
③医師が胸腔ドレーンを挿入する際の介助

術後のケアは体力的にもハードになることも
外科では術後胸腔ドレーンや動脈ライン、膀胱留置カテーテルなど多くの管を挿入してベッド上で安静となる事がほとんどです。

特に高齢者の手術直後は、ICUシンドロームになりやすく、夜勤帯に生命に関わる管の自己抜去やベッドから勝手に離床するという危険な状況になりそうな場面がありました。

夜勤は看護師も少ない状況で、せん妄の患者さんの対応をすることは体力的にも精神的にも大変でした。

総合病院の呼吸器内科・外科看護師の1日のタイムスケジュール


総合病院で病棟勤務の場合のタイムスケジュール
8:00 電子カルテより情報収集

8:30 夜勤帯からの申し送り、重症患者や術直後の患者さんのドレーンや医療機器のWチェック

9:00 点滴のWチェックと準備、患者さんの清潔の援助、手術入室の際の付き添いと家族対応
本日使用する点滴を準備して看護師2名でWチェックする、重傷患者さんや人工呼吸器を装着している患者さんは看護師2人で清潔援助に入る、肺がんの手術の場合は終了後ICU入室することがほとんどなので入室の付き添いのみになるが、気胸の手術後は病棟に戻ってくることがほとんどの為、術後の受け入れの準備を行う

9:30 主に呼吸器科病で実施されている内容
外科の場合:患者さんの状態をみながら日勤帯で離床できるように援助する。(術後は創部の疼痛、
ドレーン留置中、起立性低血圧の為離床がスムーズに行われない場合があるが、術後合併症予防の為に疼痛コントロールを図りながら施行する必要がある。)、ICUから病棟へ戻る患者さんがいる場合や手術後は病棟に戻ってくる際の準備と対応 


内科・外科共通:抗がん剤治療を予定している患者さんがいる場合は対応する (医師の予定に合わせて実施することが多い。実施時はバイタルサイン測定、副作用の有無の把握、施行時の記録を行う)、レントゲンなどの検査がある場合は移動・移送の介助を行う(看護助手が主に介助を行うが、重症患者の場合は看護師が担当する)、気管支鏡検査の移送と、終了後の対応(部分麻酔を使用して気管支に内視鏡を挿入する侵襲性の高い検査の為、検査後の観察が重要)

11:30 休憩
2チームに分けて休憩をとるため、申し送りをする

12:00 患者さんの昼食の時間
配膳や必要に応じて食事介助を行う。経管栄養が必要な場合は準備して投与する

13:30 カンファレンス
患者さんからのナースコールを対応しながら、全スタッフでミーティングを行う。インシデントやケースカンファレンス、各委員会からの伝達事項など

14:00 午前中から実施されている処置や検査、受け持ち患者さんのラウンド・バイタルサイン測定
手術直後でなければ呼吸器科の患者さんのバイタルサイン測定はこの時間帯で行う。

15:00 記録をしたり、リーダーへの報告を行う、 緊急入院があれば対応をする
ベッドの用意、問診や電子カルテへの入力、持参薬の確認は基本的に薬剤師が行うが、看護師も気にかけておく必要がある

16:30 夜勤帯への申し送り
重症患者や人工呼吸器などの医療機器、手術直後の患者さんのWチェックを日勤と夜勤帯で行う

17:00 日勤帯勤務終了
夜勤帯ラウンド、ナースコール対応や必要に応じてトイレ介助、面会者がまだいる時間帯なので、家族対応など必要に応じて行う

18:00 患者さんの夕食の時間
必要に応じて配膳と下膳、食事介助を行う。食後の内服の援助や口腔ケアを行う。気道挿管し人工呼吸器管理になっている患者さんは、安全面の配慮から看護師2人で口腔ケアを実施する

20:00 面会時間終了

21:00 患者さんの消灯時間
電気を消したり、カーテンを閉めるなどの環境整備を行いながらラウンドする

21:30 ナースコールの対応をしながら看護師の休憩時間
手術直後の患者さんや重症患者さんのバイタルサイン測定や点滴投与、体位変換などの援助が夜間必要な場合は実施する

0:00 ラウンド、看護師も2チームに分かれて休憩をとる(仮眠をとっても良い)
24時間持続点滴のIN量の把握、積算のリセットを行う。また、膀胱留置カテーテルを装着している患者さんの尿量やドレーンの排液量などのOUT量の把握と尿破棄を行う。病棟内のごみを回収したり、救急カートの点検など、夜間帯で行う看護業務以外の決まり事があれば実施する。夜間帯に緊急入院などがあったり、お看取りなどがあった場合は対応する。

3:00 ラウンドを行う

5:00 看護師が朝食や整容を行い、朝のラウンドの準備を行う

6:00 患者さんの起床時間に合わせてラウンドを行う
採血やネブライザー、点滴の投与などの処置が必要な場合は実施する

7:30 患者さんの朝食の時間
夕食時同様に介助を行う

基本的に、外科の場合は術前と術後の看護を行います。それ以外は内科も外科も勤務内容はほぼ一緒です。

総合病院の呼吸器科看護師のやりがいって?


総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

総合病院の呼吸器科看護師のやりがいとは

呼吸器科でやりがいを感じる時
①終末期の患者さんと家族への対応を行い、病院でも良い最期が迎えられたと感謝された時
②呼吸困難や疼痛など生活に支障を来す症状があった場合に、そのアセスメントと対応が出来るようになり、症状が改善し普段の入院生活が送れるようになった時
③人工呼吸器などの医療機器の取り扱いができるようになる
④急変時の対応(挿管時の介助が出来た時)

呼吸器科は、肺がんの宣告を受けた患者さんが検査入院し、治療を行い、その後転移や再発があれば再入院してきて、中には、病院でお看取りする患者さんもいます。

一人の患者さんの人生の一部に深く関わりが持てる診療科のため、患者さんの家族から感謝されることも多く、やりがいになっているのです。

また、このような経験は筆者が後に訪問看護へ移動し勤務した際、家族看護やお看取りの面で経験を生かすことができたと感じました。

訪問看護以外でも、慢性期の病棟や療養型の病院でも生かすことができるのではないでしょうか。

看護師として成長できた呼吸器科時代

総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

呼吸器科の治療(手術や化学療法など)は緊急で行う事はほとんどありません。

そのため、看護師も前もって予定されている手術や抗がん剤の治療薬などを把握し、勉強して手術に臨むことが可能です。

外科病棟は忙しいというイメージがありますが、呼吸器科の外科は急変も少ないため、他の外科病棟と比べると慌ただしい状況はあまりありません。

筆者にとっては、呼吸器外科はきちんと外科看護を学べる環境でした。

礼儀や接遇も学ぶ事ができ、医療や看護以外のスキルも身に付けることができます。

総合病院の呼吸器科看護師の年収は高い?勤務条件は良いか


総合病院の呼吸器科の看護師ってお給料いいの?

総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

筆者の総合病院呼吸器科での給料
・新卒1年目:23万~25万円/夜勤(二交代)はひと月当たり3回~5回

・3年目:25万~27万/夜勤はひと月5回~7回

・ボーナス:毎年2〜2.3ヶ月分

総合病院勤務ですが、呼吸器科の場合忙しい病棟と比べると残業が少ないので、手取り額は少ないと思っていました。しかし、のちに呼吸器科のクリニックへ転職したスタッフへお給料を聞いてみると、経験15年目の看護師ですが手取りが約10万円下がったそうです。

夜勤・残業はある?呼吸器科看護師の勤務環境をチェック!

夜勤について
総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

外科は手術直後の患者さんが多くいますが、状態が安定している場合は忙しいと感じることはありません。

夜勤は二交代で月に5、6回行いますが、休憩が取れない夜勤が月に1回あれば多い方でした。

夜間の業務は、ナースコール対応以外は決まった時間に動く場面がほとんどなので、休憩中は交代の看護師に申し送れば仮眠もとる事ができます。

患者さんの状態が落ち着いている夜勤であれば、残業せずすぐに帰ることができました。

残業について
経験年数3年以上の正社員では委員会活動があり、委員会とは別に各病棟ごとに行われる病棟会の参加は必須でした。

そのため、スタッフが急に休んだ場合や、急変時やお看取りなどがあった場合、勤務時間後でも残業して病棟で記録類の記入するなどの残業が発生します。

しかし、その後に転科した脳外科は残業が当たり前だったので呼吸器科は残業が少ないほうかもしれません。

働きやすさについて
総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

総合病院での勤務条件は、夜勤の回数や休みの回数は毎月決まっています。筆者が勤務していた病棟では、公休を2日と決めて希望を出すことが可能でした。

そのおかげで筆者もプライベートの予定も立てやすく、環境が整っていたと思います

病院にもよりますが、このような決まりがあれば、子育てをしながら働いている人や独身の人でも平等に働くことができますよ。

また、総合病院では24時間の院内託児所などが併設されていたり、福利厚生が充実しているので、結婚や出産しても復帰しやすいと思います。

総合病院の呼吸器科で看護師として働くメリット・デメリット


総合病院の呼吸器科で看護師として働く3つのメリット

総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

総合病院の呼吸器科で働くメリット
①急変時の対応からお看取りまで経験ができ、看護師としてのスキルが向上する
②一人の患者さんを病期(ステージ)ごとに対応ができ、経過を追って呼吸器の治療や看護を学ぶ事ができる
③人工呼吸器などの取り扱いや看護が学べる

呼吸器科では、肺がんの患者さんが病期の進行状況に応じて再入院してくるケースも多くあります。そのため、病気の進行状況に応じた治療を学ぶ事が可能です。

また、終末期にある患者さんや家族への対応では、看護師の治療だけでなく、態度や話し方も重要となり、これらは人としての一般的な接遇や言葉使い、気遣いなどが身に付きます。

総合病院の呼吸器科で看護師として働く3つのデメリット

総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

総合病院の呼吸器科で働くデメリット
①患者さんが元気だった頃から関わりが持てるため、お看取りになった場合、家族に感情移入し精神的に辛い状況になることがある
②急変時やお看取りの対応は頻回にあるわけではないため、日頃から勉強しいつでも対応ができるようにしなければならない
③生命に直接関わる症状が出現するため、看護師のアセスメント能力と迅速な対応が必要となる

お看取りの状況になった場合、看護師は長い間看護してきた患者さんを失って病的悲嘆になってしまうこともあるのです。

病的悲嘆から抜け出せないと看護師の精神・身体状態も衰弱してしまいます。

現在は、看護師の悲嘆に対して病院でケアをする(ケースカンファレンスとして、悲しみをスタッフ間で共有したり、ケアを振り返る)ことが可能です。

経験者が語る!総合病院の呼吸器科に向いている人とは


総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容


総合病院の呼吸器科に向いている人

総合病院の呼吸器科に向いている人
①患者さんの退院後までケアできる人
②手術後の看護に興味がある人(呼吸器外科)
③呼吸器に関して専門的な勉強がしたい人

患者さんの退院後までケアできる人
入院生活が長い内科の患者さんは退院時に不安を感じてしまうこともあります。

患者さんに不安なく退院してもらうために、看護師は退院後の生活にも目を向けてアセスメントすることが重要です。

例えば、「入院中は看護師にお風呂に入れてもらっていたけど、退院後一人で入れるか不安」という訴えがある場合を考えます。

その場合、看護師は協力してくれる家族の有無を把握し、さらに介護保険や医療保険などの社会資源の提案、ケアマネジャーの導入などが必要となります。

それらを看護師が情報提供し、退院調整看護師やソーシャルワーカーへの架け橋となることも重要です。

手術後の看護に興味がある人(呼吸器外科)

外科は手術を行うため、術後の身体状態の観察やドレーンや心電図モニターを診れるようにしておくことが重要です。

術後は痛みなどから日常生活に支障が来していないかなど症状の把握を行う事、術後の創部の消毒や包帯交換などもあるため外科的処置にも興味がある人が良いと思います。

総合病院の呼吸器科で働きたい!私が試した求人の探し方


総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

総合病院の呼吸器科の求人ってどうやって探したらいいの?

私が総合病院呼吸器科の求人を探した方法
①ハローワーク
②各病院のホームページ
③看護師専門の転職サイト
④地域新聞などから近隣の病院の求人広告から

ハローワーク
総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

一度ハローワークに行って登録をしなければなりませんが、相談員の方と直接お話ができるので親身にお話を聞いてくれます。

病院以外の求人数が少なかったため結局こちらで求人を紹介してもらうことはありませんでした。


各病院のホームページ
筆者は就職を決める際には必ず、病院のホームページの看護部を閲覧していました。

看護部長のコメントや看護部の理念を目を通しておくことで、採用試験や面接時にもその内容に沿った返答が出来るからです。

また、ユニフォームのデザインや託児所の情報収集にも役立ちます。

看護師専門の転職サイト

総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容


筆者はナース人材バンクに登録して就職活動を行いました。

子育て中だった為、「院内の託児所の情報」と、「日勤常勤の求人情報」、「残業なし」の希望を伝え、いくつかの病院を紹介してもらいました。

エージェントも、病院の人事へ給料や配属先への考慮を私に代わって話してくれました。

地域新聞などから近隣の病院の求人広告
地域新聞の場合、時給が高額(1時間2,500円など)な場合もあるのです。

看護師パートの求人が載っていた際に、何件か高時給の病院求人を見かけました。

病院へ問い合わせることはしませんでしたが、就職を急いでいない場合や高時給を狙っている場合は、地域新聞の求人欄を参考にしてみるのもいいでしょう。

総合病院の呼吸器科へ転職したいなら看護師専門の転職サイトがオススメ!

前述したとおり看護人材バンクや転職サイトを利用し、担当したエージェントから託児所の金額や、師長・主任のキャラクター、病棟のリアルな雰囲気、残業の有無まで細かく情報提供してもらうことが可能です。

また、面接時にはお給料のことや、配置希望までエージェントが交渉してくれます。面接のポイントや履歴書の書き方などの指導もあるため、希望通りの就職ができるということもメリットです。

看護師専門の転職サイト(別記事で求人情報が豊富な看護師専門の転職サイトを比較しました)は、登録料は一切かからず、専任の担当者がついてくれるので、はじめて転職するときでも安心ですよ。

総合病院の呼吸器科はラクではないがやりがいのある病棟


総合病院 呼吸器科 看護師 仕事内容

呼吸器科は看護としての知識や技術、そして人と人との繋がりから社会人として、人としての大切なものを学ぶ事ができる診療科だと思います。

今の職場から転職や移動で迷っている方は、ぜひ呼吸器科にチャレンジしてみてもいいのではないのでしょうか。転職サイトに登録すると、希望にマッチした求人情報を教えてくれるので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

非公開求人も教えてくれる看護師専門の転職サイトを比較した結果はこちら(別記事)