看護師歴13年の私が教える、総合病院の整形外科の仕事・給料事情

[公開日]2018/11/03

「転職先で総合病院の整形外科が気になるけど、どんな仕事をするんだろう?」
「総合病院の整形外科で看護師になるのって大変かな?」
「今、整形外科クリニックに勤めてるけど総合病院ってやりがいあるのかな?」


読者の皆さんの中には上に挙げたような疑問を持たれている方も多いことでしょう。

この記事では、実際に整形外科に勤務していた私が、整形外科の内情、リアルな日常をお伝えします。

現場の生の声をきくことで総合病院の整形外科で働くということについてのイメージがしやすくなるはずです。

執筆者:富永 陽子
看護師

看護師歴13年。整形外科、循環器外科、脳神経外科での勤務経験有。




総合病院の整形外科看護師の仕事はきついって本当?


総合病院の整形外科で看護師の仕事は、きついと言われることは確かに多いと思います。

実際には総合病院の整形外科の看護師の仕事内容はどのようなものなのか、そしていったいどんな業務が最もきついのでしょうか?

総合病院の整形外科看護師の主な仕事内容、役割とは?

総合病院整形外科看護師の主な業務内容
・排泄介助、体位交換
・直達牽引、介達牽引の介助と良肢位の保持
・医師の回診の介助
・手術前、手術後の看護

総合病院の整形外科での看護師の仕事で一番多いのが、ベッドから動けない患者さんの排泄介助や体位交換、清拭です。

排泄介助や体位交換、清拭をしながら、デク(褥瘡)などができていないかをチェックします。

他には、牽引の介助やすでに牽引をしている患者さんにトラブルが起きていないかを確認しながら、医師の回診の介助もおこないます。

また、手術も多くおこなわれるため、手術前の処置や検査、説明、そして、手術後のバイタルサインのチェックや点滴なども行います。

筆者が一番キツイと感じた仕事は?
総合病院の整形外科勤務の中で最もきついと思っていたのが、清拭、体位交換、排泄介助でした。

排便は多くの患者さんが、腹圧が上手くかからない状態のため、定期的に下剤を使用し浣腸などを使いながら排泄する必要があります。

浣腸だけでは出ないほど、便が硬くなってしまった患者さんには、直接肛門から指を入れて便を出す摘便をしなくてはならないのです。

きついだけじゃない!総合病院の整形外科看護師としてのやりがい


患者さんと二人三脚で回復を目指すことができる

仕事内容だけ見ていると整形外科はきついと感じてしまうかもしれませんが、実はそれ以上にやりがいを感じられる診療科でもあります。

整形外科では、患者さんと看護師が一緒に回復へと歩みを進めるため、退院する時には看護師と患者さんとの間に達成感と絆が生まれます。

脳神経外科や循環器外科でも働いた経験がありますが、これだけ患者さんと一緒に達成感を感じられる診療科は、整形外科だけだと思います。

スキルアップできる

受持ち制で患者さんを看護師する場合が多いため、患者さんが一番辛い時期から寄り添い、回復までの看護を通して学ぶことが多く、看護師としてスキルが身につきます。

総合病院の整形外科で看護師として働いてよかったこと


機敏な対応が身につく
整形外科では、事故や転倒などにより手術が必要となる大きな怪我で入院してくる患者さんがほとんどです。

緊急性を要する場面に多く出くわすので、自然と機敏な対応が身につきます。

キビキビと働くのが好きな人や機敏な動作が得意な人は整形外科の看護師に適任!
どんなことでも、素早くこなす能力は、整形外科の看護師として大いに役立ちます。

特に、異変に気がつきやすい人は、患者さんの急変対応も早いので整形外科の看護師向きです。

看護師としてのモチベーションや意識の向上につながる
医師だけでなく、リハビリ技師とのコミュニケーションが必要な整形外科で働くことにより、治療の手助けをしている実感が最も持ちやすい診療科です。

患者さんの体だけでなく、心のケアは看護師として重要となります。

心のケア次第で、手術後の回復やリハビリテーションがスムーズに行えるかが変わるのです。

患者さんは、よき相談相手として看護師を頼ってくれます。

患者さんの回復を実感しながら、看護師としてのモチベーションや意識の向上につながるのです。

看護師として人の為になりたい人は整形外科がオススメ!

患者さんが社会復帰した姿を見ることで看護師と人の役に立っている実感が得られます。

そのため、人の為になりたい人にとっては、整形外科の看護師は最適ではないでしょうか。

総合病院の整形外科で看護師に転職しないほうがいい人


診療科によって、業務がかわりますが特に整形外科の場合以下のような仕事内容が他の科よりも多かったように思います。

就職・転職してから後悔しないためにも自分にあっているかを確認して選ぶようにしましょう。

排泄介助ばかりの業務で看護師としての業務が少ない
整形外科の患者さんは、自分で動けない人が多いため、基本的な業務が排泄介助や体位交換、オムツ交換ばかりです。

そのため、検温の時間は一日でほんの数分で終わらせなくてはいけなくなり、毎日介護士のような仕事ばかりが求められます。

看護師になったのに、こんな仕事ばかりで辛いと思うのも本音です。

覚えなければならないことが多い
整形外科では、牽引など他の診療科では滅多に使わないが、整形外科では必要となってくることが多くあります。

そのため、整形外科で働く場合は覚えることが多いため、希望して整形外科の病棟に勤務しても途中で挫折してしまうことも少なくないのです。

あたり屋のような患者さんにも看護をしなくてはいけない
患者さんの中には、あたり屋として何度も入退院を繰り返し、被害者のふりをして、相手の人へ高額な請求をしたり、リハビリが上手くいかないふりをして治療を長引かせる人もいます。

そんな人でも入院患者さんである以上、看護師として同じ対応を迫られますが、その時にまるで犯罪の片棒を担いでいるような気持ちになるのです。

整形外科って若い看護師が多いって本当?


整形外科の看護師が若いイメージが多いですが、実際には、20代の看護師は少なく中堅と呼ばれる35~45歳の年齢層が多かったように思います。

これは、若い看護師には、排泄介助のような看護師らしくない業務に嫌悪感を抱いて辞めてしまうことが多いからでしょう。

患者さんも今後の治療方針やリハビリの進め方などを相談するのに、20代の看護師では人生経験も少なく患者さんからの質問に答えられずに、ストレスとなり辞めてしまうことも多くあります。

総合病院の整形外科看護師の年収は高い?残業や勤務条件は?



総合病院 整形外科
Aクリニック 整形外科
月収
23〜30万円
20〜25万円(手当含む)
ボーナス
年2回/1〜2ヶ月
年2回/3ヶ月
夜勤手当
1.5〜3.0万円
夜勤なし


少しでも給料が高い病院で勤務をしたい時は、夜勤がなるべく多くできる病院に勤めるのがお勧めです。

中には、夜勤専門の看護師を募集している病院もあり、夜勤手当だけで3万円の所もあるのでチェックしてみましょう。

クリニックになると夜勤がないため、給料は安くなる傾向があるようです。

また、クリニックの場合は、病院の受診患者さんの多さによって給料が変化してきます。

夜勤・残業はある?整形外科看護師の勤務環境をチェック!


夜勤について
総合病院で整形外科勤務の場合、夜勤は必ずあり、平均して、月に5~6回の夜勤があると思っておくと良いです。

日勤勤務に比べると夜勤は、重症患者さんがいない限り、排泄介助や体交が主な仕事になるため、ナースコールの回数は多いですが、それほどきつい夜勤ではありません。

総合病院でも救急指定の病院の場合は、急な入院が手術が入るため、夜勤で仮眠をとれない場合もあるでしょう。

残業について
総合病院で、午後から外来診察がある場合は、急な入院や手術が入るので他の診療科よりも残業は多くなります。

入院してから、直達牽引や創部の処置などの介助があるので、通常の勤務時間にプラスして1時間くらいの残業が週に2~3回あると思っておくのが良いです。

ほとんどないですが、午後からの外来診察がない総合病院の場合は、急な入院などがないので定時で帰宅できることもあります。

総合病院の整形外科の1日のタイムスケジュールをチェック!

総合病院で病棟勤務の場合のタイムスケジュール
8:30 夜勤者から日勤者へ申し送り、カルテから情報収集

9:00 清拭、体位交換、排泄介助、介達牽引の巻き直し、点滴準備と点滴施行

10:00 バイタルサインチェック、医師の回診の介助
カルテ、バイタルサインチェック表、回診車、前日のレントゲンやMRIを準備、傷の消毒、包帯巻き、片づけなど分担して行う

12:00 昼食の準備、介助、食事量チェック

13:00 体位交換、排泄介助、牽引確認

14:00 検温、リハビリへの送迎

15:00 翌日の検査や手術の説明、医師のムンテラの補助(必要に応じて剃毛)

16:00 看護記録記入、持続点滴者の確認

16:30 翌日の点滴確認とセッティング、体位交換、排泄介助、牽引確認

17:00 日勤者から夜勤者へ申し送り、カルテから情報収集

看護師としてスキルとモチベーションを得るなら整形外科がお勧め


整形外科では、医師やリハビリ技師と一緒に患者さんと二人三脚で治療し看護できるだけでなく、整形外科では様々な症例を治療するため、看護師としてスキルアップにもつながります。

他にも排泄介助や体位交換、清拭など一見看護師の業務とはほど遠く感じますが、その行為こそが、二次感染や褥瘡の予防につながっているのです。

キャリアアップしたいなら整形外科がお勧めですよ。

私自身はこれまでに3回転職しましたが、働きながら転職活動をするのは時間的にも精神的にも疲れるものです。

なので、私も転職のときに利用していた整形外科の求人情報が豊富な転職サイトを比較別記事)してみました。探さなくても条件に合わせて紹介してくれるので、便利ですよ。是非参考にしてみてくださいね。