現役看護師が解説!美容皮膚科クリニックの仕事内容は楽で給料が高い?

[公開日]2018/11/03

「残業もないし転職してみたいけど、実際のところどうなんだろう」
「美容皮膚科の看護師になるには臨床経験が4年いるって本当?」
「美容皮膚科は自由診療だからノルマとかあるのかな」

美容皮膚科で働いてみたいと思っても一般的な看護とはかけ離れていて二の足を踏んでしまっていませんか?

美容皮膚科の患者のほとんどは、「美しさ」を求める健康な人であり、病気の人と関わってきた看護師にとっては戸惑う事も多いようです。

美容皮膚科の仕事は「人を前向きに」できる素晴らしい仕事でもあり、美容に関心があって、美を追求する意欲があればこんなに楽しい仕事はありません。

筆者は実際、個人経営の美容皮膚科で勤務したことがあり、姉は都心部の大手美容皮膚科で勤務していました。この記事でお伝えする、それぞれの経験から美容クリニックでの働き方をイメージしてみてください。

執筆者:瀧本 梢
看護師

看護師歴11年。美容皮膚科、眼科、小児科、循環器外科での勤務経験有。



美容皮膚科の仕事内容は?残業ないって本当?



美容皮膚科で働くにあたって気になるのは仕事内容ではないでしょうか。

筆者が勤めていた美容皮膚科・形成外科クリニックを例に挙げてご紹介します。

美容クリニックの看護師の業務内容

美容皮膚科の看護師が行う業務
・カウンセリング
・医師が選択した施術の説明
・レーザー治療の介助
・医師の指示で脱毛レーザーや光治療などの施術
・ピーリングや超音波リフトなどのエステ業務

カウンセリングで、シミ、ニキビ、しわなど、患者さんが悩んでいるポイントを絞り、医師がスムーズに診療出来るように分析することは美容クリニックで働く看護師の大切な仕事です。

レーザー治療に関しては、医師の管理下で看護師が行うクリニックもあれば、医師が全て担うクリニックもあります。

また、エステ併設のクリニックでは、ピーリングやリフトアップ、イオン導入などの施術も看護師の仕事です。

美容外科の看護師の業務
・カウンセリング
・脱毛レーザーや光治療などの施術
・ピーリングや超音波リフトなどのエステ業務
・手術器具の滅菌作業
・手術の直介助や外回り
・術前検査や術前説明
・術後処置

美容外科は、美容皮膚科で行っている施術を行っているところも多く、美容皮膚科と業務的には同じ部分があるのですが、外科手術があるために、それに伴った業務が入ってきます。

その分美容皮膚科の業務に比べ、作業工程も多くなり、体力的にもハードになってくるでしょう。

また、手術の介助につく場合は、使う機械の名前や、機械出しをする順番も覚える必要があります。

病院の看護師と比べて仕事は楽か

病院より楽か、といわれると、美容が好きで向上心のある人には「楽」だと感じることでしょう。

一般的な看護とは全く違う仕事内容が多いために、技術を一から収得しなければならなかったり、知識を得なければいけないのでしんどいと思う事もあります。

しかし、習得した知識を自分で実践することで、自分もどんどん綺麗になるのです。

そんな経験をすると、「もっともっと頑張って綺麗になりたい」と思い、楽しくなってきます。

自分の好きな美容に関わる楽しい仕事をしていて、さらにインセンティブが発生して給与が増えるとさらに面白いと思えるのです。

逆に、そこまで興味がない、人と接することが好きではないと辛いと思うかもしれません。

美容皮膚科の看護師の1日は大変?

美容皮膚科の看護師の仕事は一般的な看護業務とは違い、健康な患者さんの綺麗になりたいという要望を満たすことが求められます。

どのような仕事なのか、筆者が勤めていた美容皮膚科・形成外科クリニックの1日を見てみましょう。
美容皮膚科クリニックで働く看護師のタイムスケジュール
8:30 エステの予約確認、施術準備

9:00 医師の診察介助、イオン導入・リフトアップの予約患者の施術、レーザー脱毛など
イオン導入やリフトアップは、高濃度のビタミンCやトラネキサム酸を、マイナスイオンが出る機械を使用して導入していきます。

12:00 休憩

13:00 手術介助

15:00 手術後片付け

15:30 ピーリング、CO2レーザーやルビーレーザーなどの介助、新規美容初診患者のカウンセリング、採血など
ピーリングは、自宅で行うピーリングと違い高濃度となるために、医師の指示の濃度でピーリング中に炎症を起こさないか確認し、異常があれば医師に報告するので、皮膚観察が必要となります。

18:00 業務終了

一般的な看護と違い、経験したことのない施術などがあるので、最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくると作業的には単純なので、タイムスケジュールも組みやすくなります。

夜勤はないけど土日休めない!美容皮膚科の看護師として働くメリット・デメリット



美容皮膚科で働く看護師として、実際のところどの点が良くて、どの点が辛いのか、気になるところでしょう。筆者と筆者の姉の経験からご紹介します。

美容皮膚科で感じたデメリットとは?

美容皮膚科で働くデメリット
・医療スキルが落ちてしまう
・クレームが他の診療科よりも多い
・「病気をケアする看護師」ではないこと
・土日祝は休めない

医療スキルが落ちてしまう

筆者が一番困ったのはこの部分でした。

実際に美容皮膚科を退職し、大学病院で勤務した時は思う以上に看護技術の低下があり、感覚が戻るまでに時間を要しました。

また、最新の医学情報や技術の情報が入らないために、「今はこんなことになっているんだ」と驚くこともありました。

クレームが他の診療科よりも多い

「こうしてほしい」「綺麗になるだろう」と思って来院してくる患者さんは、思ったような状態にならなかった場合は不満を訴えることが多いのです。

多く寄せられるクレームに対して真摯な対応、対処を行うことはかなりのストレスになります。

「病気をケアする看護師」ではないこと

看護師になる人は「病気の人のケアをしたい」と思ってこの道に進んだ人がほとんどではないでしょうか。

病気の人に寄り添って医師や薬剤師、コメディカルとチームを組んで看護にあたるということが美容皮膚科で行われないため、筆者は「本当にやりたいことは看護なのでは?」と悩む時もありました。

土日祝に休めない

個人経営のクリニックでは日祝は休みのところも多いのですが、大手美容皮膚科は年中無休のところもあり、なかなか希望が通らないこともあります。

美容皮膚科で働くメリットって?

美容皮膚科で働くメリット
・夜勤が無い
・社割や無料で施術が受けられる/ドクターズコスメも社割がある
・美意識が高まる

夜勤が無い

小さな子供がいる筆者にとって夜勤がないのは非常に有り難いことでした。

仕事が終わってから子供との時間を取ることができて、夜、母親がいない時間を無くすことも出来たからです。

病院勤務をしていた時の同僚の看護師は随分苦労されていました。

また、姉は独身でしたが、夜勤が無いことでライフワークバランスが取りやすく、仕事が終わってから看護以外の資格取得をするなど、充実した時間を過ごしていたようです。

社割や無料で施術が受けられる/ドクターズコスメも社割がある

普段に施術を行う場合は、社割で格安で施術を受けることが出来ます。

勉強会でスタッフ間で施術を行う場合は勿論無料、ホームケア用のドクターズコスメも社割で購入出来るので、美意識の高い看護師にとっては魅力的です。

筆者はそれで随分肌がきれいになりましたので、美容皮膚科で働いた価値は十分にありました。

美意識が高まる

美容皮膚科で勤務して、一番良かったと思えたことは美容に対しての意識が高くなったことです。

自分自身が毎日ケアをすることで「この施術やホームケアを使うとこんなふうになります」と自信をもって紹介することができ、「私もそうなりたい!」と思ってもらい、患者さんも綺麗になって感謝されることで達成感もありました。

美容皮膚科看護師の年収は高い?営業ノルマの実態



年収や営業ノルマに関しては、勤める美容皮膚科クリニックによって随分変わってきます。

美容皮膚科の看護師の年収と勤続10年の看護師の平均年収を比較したのが下の表です。(参考:日本看護協会HP

個人経営の美容皮膚科
大手美容皮膚科
勤続10年の看護師平均(看護協会HPより)
年収
300〜400万円
500万円〜(インセンティブ込み)
400万円前後(夜勤込み)


この表を見ると、都心部の大手美容皮膚科の給料が高いのですが、これはなぜでしょうか?

個人経営の美容皮膚科の実態とは?
筆者は自宅からすぐ近くの個人経営のクリニックで働いていましたが、このクリニックでは営業ノルマは一切なかったので、その分給料は一般的なクリニックのと一緒か、それより低かったです。

オリジナルドクターズコスメの販売も行っていましたが、美容皮膚科があまりない地域だったので固定客がかなり多く、口コミでどんどん売れていく、という感じでした。

都心部の大手美容皮膚科の実態とは?
姉の勤めていた都心部の大手美容皮膚科でもレーザーやリフトアップ、施術など、基本的な業務は個人経営のクリニックと変わりません。

しかし、患者さんが会社帰りに通院出来るように20時まで営業していましたし、中抜けの時間もありませんでした。

早出と遅出があり、自分が担当する患者さんの施術やレーザーなどにインセンティブが発生し、年収は500万円を超えることもありました。

夜勤がない状態でこの年収は魅力的です。

また、月の予想売り上げを超えると、有名百貨店で販売してる洋菓子や寸志が配られるのでやる気が出ると話していました。

姉のクリニックではノルマ自体は無かったそうです。

しかし、予想売り上げは○○円と言われると、スタッフの人数で割ると自分はどのくらい頑張らないといけないという無言のプレッシャーがあったと話していました。

また、都心部には大手や有名な美容皮膚科が乱立していることから競争があるため、勉強会やセミナー、集客を上げるためのキャンペーンを考えたりと、業務時間以外にやらなければならないことも多く、厳しい側面もあるのです。

美容皮膚科の看護師は美人しかムリ?向いている人とは



美容皮膚科で働く人は綺麗な人が多いという印象がありますよね。

実際自分が美容皮膚科で働きたいと思った時に、美人で若い人しか採用されないのではないかと不安になるのは当然のことです。

しかし、実際はそうではありません。

筆者や姉も30代に入ってからの入職であり、若くて美人であるという訳ではありませんでした。

美容皮膚科に勤めている看護師の多くは美に対してストイックな人が多く、自分磨きにも努力する人が多いように思います。

結果、肌の状態も良く「綺麗に見える」のです。

では、どういった人が美容皮膚科に向いているのかを検証していきます!

美容皮膚科の看護師に向いている人

向いている人
・美容が好きな人
・接客や人と話すことが好きな人

美容皮膚科に向いている人は、自分の肌の状態や美容に関心があって、自分の体験を患者さんに還元する努力が出来る人です。

患者さんに「何を使っているの?」と聞かれる位に肌の状態を良くすることで、患者さんに自分の経験を元にした的確なアドバイスが出来ます。

筆者の職場にも美容が大好きでスキンケアに余念がない人がほとんどでした。

「看護」より「接客業」がメイン!美容皮膚科の看護師に向いていない人


向いていない人
・美容に興味がない人
・接客が苦手な人

逆に美容皮膚科に向いていない人は、美容に興味がなく、自分自身のスキンケアも適当に行ってしまうひとです。

患者さんは看護師やスタッフの肌をよく観察していて、それによってクリニックの質を判断している人も少なくありません。

一人でも適当なスキンケアをしていれば、その病院の印象が下がってしまうのです。

また、美容クリニックでは患者さんを「お客様」として迎え入れるために、接客マナーは看護師であっても厳しいものになります。

そのため、接客が苦手な人にとって、美容クリニックでの勤務が辛いものになることもあるでしょう。

美容クリニックで働くには自らの美容について学ぶ姿勢が重要


美容クリニックの看護師は、「夜勤がない」、「給料がいい」などの理由で人気が高いですが、普通の看護師の仕事とは異なることも多くあります。

美容クリニックでは患者さんが美しくなるためのお手伝いをするのが看護師の役割の一つ、自らも美しくなる努力をすることが求められるのです。

「美容に関心がある」、「美しくなりたい」というような考えを日頃から持っている看護師さんにとっては良い職場だと筆者は考えます。

私自身はこれまでに4回転職しましたが、働きながら転職活動をするのは時間的にも精神的にも疲れるものです。

なので、私も転職のときに利用していた美容皮膚科の求人情報が豊富な転職サイトを比較別記事)してみました。条件に合わせて紹介してくれるので、是非参考にしてみてくださいね。