総合病院の循環器科看護師は大変？経験者が仕事内容と年収まで解説

私は循環器で働いた経験もある、勤務歴18年の看護師です。

緊急時にテキパキと対応している循環器科の看護師に憧れるけど「十二誘導が苦手だし、心電図が読めないから私には無理かも…」と思っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、循環器科での勤務経験もある私が、循環器科看護師の難しさや、年収や残業など気になる情報を説明していきます。

先に循環器科の看護師の求人情報が豊富なおすすめ転職サイトランキングを見る

総合病院の循環器科の看護師の仕事内容は大変？

循環器科の看護師が行う業務内容(医療行為)とは？

循環器科で働くと「医療行為が大変そう」というイメージがありませんか？

しかし、実際は他科と行う医療行為に違いはありません。


心電図を読んで急変時に対応しているという点から、大変そうな印象があるようです。

＊医療行為については以下を参照してください
【厚生労働省】

循環器科は緊急を要する対応が必要

総合病院の循環器科には、虚血性心疾患・不整脈・心筋症・閉塞性動脈硬化症など、心臓や血管に異常のある急性期の患者さんが入院します。

そのため、治療前に患者さんが心肺停止を起こすこともあるのです。


院内にドクターコールをかけると多くの医師が処置室へ駆けつけるため、経過や既往歴・治療内容など簡単に説明します。

そして看護師同士で役割分担し、緊張状態の中、迅速かつ的確に判断しながら対応していくのです。

循環器内科と循環器外科の違い

簡単に言えば、

・循環器内科・・・内科的治療を行う
・循環器外科（心臓血管外科）・・・外科的治療を行う

ということなのですが、ここではそれぞれの対象疾患と治療の違いについて、具体的にまとめました。

	循環器内科	循環器外科
対応疾患	・高血圧 ＊他はほぼ同じ	・虚血性心疾患 ・心臓弁膜症 ・心筋症 ・大動脈瘤/大動脈解離 ・閉塞性動脈硬化症 ・心臓腫瘍 など
治療	〇薬物療法 〇カテーテル療法 ・バルーン療法 ・ステント治療 ・アブレーション治療など	〇手術 ・バイパス手術 ・弁置換術 ・血管再生医療 ・バチスタ手術など

このように、動脈に挿入したカテーテルを通して冠動脈の動脈硬化部分を拡張するバルーン療法やステント治療、高周波電流で不整脈の原因となる心臓内部を焼き切るアブレーション治療などは循環器内科の範囲となります。

総合病院の循環器科の看護師の一日の流れで何が大変か

一日の流れの中で一番大変なのは、入退院の激しい月曜日～金曜日10時～12時です。

カテーテル検査入院の場合、当日入院・翌日退院のこともあり、毎日6～8人の退院指導・アナムネーゼ・検査説明があるため大忙しの時間帯でした。

次は、循環器科看護師のリアルな日勤・夜勤のタイムスケジュールについて説明します。


日勤帯で落ち着く時間は、夕方になってからです。それまでは、入退院・検査・治療の対応に追われます。


カテーテル治療では、橈骨動脈や鼠径動脈から穿刺するため強めの圧迫（とめ太くんなど）をしていますが、止血には個人差があります。

そのため、じわじわと出血が続き、皮下にシャントを形成してしまうこともあるのです。

術後の観察時には、危険性を予測しながら慎重に行うことが大切になってきます。

総合病院の循環器科看護師の年収は高い？勤務条件はどう？

総合病院の循環器科看護師の給与水準、年収

総合病院の場合、病院として看護師の給与が決められているため、循環器だから他科と異なるということはなく、賃金の差は、3年課程卒・大卒によって違うことが分かっています。

※日本看護協会(2017年調査）

※日本看護協会(2017年調査）

※日本看護協会(2017年調査）

の経験からすると、他科と比較すると循環器科では残業が増える傾向にあるため、給料は多くなっていました。

次に、循環器科がメインの総合病院とクリニック（夜勤あり・なし）の給与について比較してみましょう。

	A総合病院	Bクリニック 夜勤あり	Cクリニック 夜勤なし
月収	306,200円～	334,805円～	270,000円～
賞与	年2回/3.7か月	ねし	年2回/2か月
年収	約594万円	約401万	約432万

この場合、月収としてはBクリニックが多いですが、年収としては総合病院が大きく上回ります。

これは、賞与のある・なしが関係しているからですが、Cクリニックと比較しても賞与比率に1.85倍（162万円）の違いがあるのです。

循環器科も他科も基本給に変わりはありませんが、高収入を目指す方は総合病院をおすすめします。

総合病院の循環器科看護師の年齢層や勤続年数は？

私が勤めていた循環器病棟における看護師の平均年齢は30.5歳でその内訳は、20歳代26名、30歳代9名、40歳代4名でした。

私の勤務先の20代は「残業があるのでプライベートな時間が計画しにくい」、「急変による身体的・精神的ストレスが辛い」と30代・40代になるにつれて別の部署に移動していました。

また、新人から循環器科へ配属される人がほとんどで、中堅がプリセプターとして指導していたため、勤続年数としてはベテランがほとんどいない状況でした。

総合病院の循環器科看護師の勤務時間・残業

循環器科看護師と他科の看護師を比べると、急変や緊急入院の数が多い前者の方が、残業時間が長い傾向にあります。

そして、残業したその日が明けなら良いのですが、夜勤に入るシフトの時には緊張感が抜けず寝不足になることもありましたが、そこまで辛いと考えることはありませんでした。

その頃の私は20代でしたが、今40代で働き続けることができるか？と問われれば、自信がないというのが本音です。

続いては、ある循環器科がメインの総合病院とクリニック（夜勤あり・なし）の勤務時間をまとめています。




家庭との両立を考えると、2交代制よりも勤務時間が短いBクリニック（3交代制）やCクリニックの方が働きやすいと言えるでしょう。

しかし、総合病院と違い、クリニックの方はスタッフ数が限られているため、施設によっては休みの融通が利かないこともあります。

総合病院循環器科の夜勤は大変？

夜勤で大変だったのが、緊急入院や急変の対応です。

夜勤はスタッフの人数も少なくなるため、緊急入院や急変があると、仕事の役割を編成する必要があり大変でした。

総合病院の場合は急患の受け入れを行いますが、救急車のサイレンが聞こえると「入院くるかも」とドキドキしていることも多かったです。

特に、緊急入院が朝ラウンドと重なると業務に追われ、残業になることもありました。

また循環器科の夜勤と他科の夜勤の違いは、急変を予測することが難しい点です。

寝る前まで元気だった患者さんが、朝方トイレで力んだことにより心負荷がかかり、心停止を起こして緊急手術となった経験もあります。

総合病院の循環器科看護師の役割とは

総合病院の循環器科看護師の役割は以下の通りです。

総合病院の循環器科看護師の役割

私が循環器科の看護師として大切にしていたことは、「患者さんに目と耳と心を傾ける」ということです。

心電図モニターも必要ですが、患者さんに症状や徴候を教えてもらい、照らし合わせてアセスメントしなければ、正しい判断を導き出すことはできません。

そのため、循環器科の看護師として働くには、日頃から平常心で患者さんと接し、話しやすい雰囲気を作る力が求められるのです。

総合病院の循環器科看護師として働くメリット・デメリット

経験者の視点で、循環器科で看護師として働くメリットとデメリットをまとめたので、解説していきましょう。

総合病院の循環器科看護師として働くデメリット

急変が多い、循環器科に転職すれば残業はあるものと思っていた方が良いでしょう。

ハードで大変な面も多い循環器科看護師ですが、以下のようなメリットもあります。

総合病院の循環器科で働く4つのメリット

他科の看護師は、心電図モニターを読むことが苦手な人が多いと感じています。

もし循環器科の看護師になれば、医師との合同勉強会はもちろん、モニターが読めるスタッフばかりですので、いつでも聞いて学習することが可能です。

専門知識を学びながら、命と向き合う場面の多い循環器科の看護師はスキルアップを目指す看護師にはぴったりの職場でしょう。

総合病院の循環器科看護師に向いている人・向いていない人

私の経験から、総合病院の循環器科で働く看護師として向いている人と向いていない人の特徴をまとめました。

総合病院の循環器科に向いていない人

循環器科の仕事はやりがいがある反面、ハードな面も多いので、以上のような人には向いていないでしょう。

一方で以下のような人には循環器科に向いていると思います。

総合病院の循環器科に向いている人

看護師としてのスキルや向学心はもちろんですが、まずは人との関わりが好きな人でないと患者さんの小さな異変に気づくことはできません。

人に興味を持ち、ふとした違和感をそのままにせず受け取り、解決できる人こそ、循環器科の看護師に向いていると言えるでしょう。

循環器科の看護師は、医師と話すとき、記録を読むときに略語を知らないと理解できません。

そのため私の場合は、単語帳を使って覚えていきました。

また、急変に対応できず悩んだ時も

・BLS(Basic　Life　Support：一次救命処置)
・ACLS(Advanced　Cardiac Life　Support：二次救命処置)

の資格を取って自信をつけました。

今では全国で講習が開催されているので、興味のある方は受講してみてください。

総合病院の循環器科看護師は命の危機と向き合う仕事

循環器科は残業が多いだけでなく、緊急を要する疾患も多いため常に緊張が解けないなど、他の診療科に比べてハードだと感じる人も多いでしょう。

しかし、循環器科は命と向き合い、看護師としてのやりがいを見出せる場でもあります。

この記事を読んで、一人でも多くの人に、循環器科の看護師になって患者さんの命を救いたいと思っていただけると幸いです。

循環器看護師への転職を目指したい人はまず、看護師専門の転職サイトに登録して、情報を得るところから始めてみてくださいね。

循環器科志望の看護師におすすめの看護師専門転職サイトランキングはこちら