これらは、筆者が福岡市から依頼されて、講師をしている「ドッグフードセミナー」で実際によくある質問です。
最近、犬の健康を考えて「犬が食べるごはんを手作りしたい!」と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか?
手作りごはんは一歩間違えるとドッグフードをあげるほうがマシなんてことにもなるのです。
ドッグトレーナーと犬のごはんの先生をしている筆者が、犬の手作りごはんについて解説します。
この記事を読めば、飼い主さんは「犬に手作りごはんをあげる際の注意点」や「犬の手作りごはんのレシピ」などを詳しく知る事ができるので、参考にしてみてください。
目次
犬に手作りごはんをあげるときの4つの注意点
1食の量に関する注意点
ドッグフードには、パッケージに1食で与える基準量が書いてあります。
しかし、手作りごはんでは与える量がわからないで困る方が多いようです。
犬に与えるお肉の量は、目安が決まっているので、そこから他の食材の量も決めることができます。
体重 | 肉の量(糖質なし) | 肉の量(糖質あり) |
2kg | 48g | 24g |
3kg | 72g | 36g |
4kg | 96g | 48g |
5kg | 120g | 60g |
6kg | 144g | 72g |
7kg | 168g | 84g |
8kg | 192g | 96g |
9kg | 216g | 108g |
10kg | 240g | 120g |
肉:野菜=6~8:4~2
例えば、体重2kgの犬が食べる肉の量が表から48gとすると、野菜は9.6g〜19gくらい与えればいいということです。
ご飯を使うとき
肉:野菜:ご飯=1:1:1
要は、肉と同じ量の野菜とご飯を使えば良いです。
手作りごはんの材料は肉、野菜、ご飯がメインになります。
しかし、これらの3種意外に、手作りごはんに欠かせないのはオリーブオイルやごま油などの「植物油」です。
これらを、最後の仕上げにひと垂らしだけ加えるのを忘れないでください。
油を入れ忘れると、ビタミンなどの栄養素がうまく吸収できなくなることがあり、犬の毛ヅヤが悪くなってしまいます。
犬の飼い主さんが、食事で取れる1日のカロリーをよく気にされます。
ドッグフードには、カロリーが掲載されているので、そこから毎食カロリーを計算することも可能です。
しかし、毎日の食事のカロリー計算を行う必要はありません。
なぜなら、手作りごはんにすると、材料が毎回作るたびに変わって難しいからです。
一回一回カロリーを気にしていると、いつまで経っても手作りごはんを始めたり、続けたりする事ができません。
私たちは日頃、昨日は「お肉を食べ過ぎたから、今日は軽めにしよう」と考えて食事を決めますよね?
犬も同じように、「昨日は油身の多い豚肉だったから、今日はヘルシーなささみにしよう」というくらいでよく、あまり細かく考える必要はありません。
犬に食べさせてはいけないものとは?
玉ねぎなどのネギ類(ニラ、アサツキ、らっきょ、わけぎなど)
ネギ類に含まれるアリルプロピルジスフィドという成分が、血液中の赤血球を壊してしまい、犬は貧血になってしまいます。
コンソメ、中華だし、ベビーフードなどの人がよく使う調味料や食べ物にも玉ねぎ抽出物が入っているのでごはんに使うのはNGです。
特に、ベビーフードはペースト状なので、老犬に与える方もいるようですが、食べさせないようにしましょう。
香辛料(唐辛子、わさび、コショウ、マスタードなど)
犬は、嗅覚が強いので香辛料などの刺激が強い食べ物を好みません。
食べさせると、胃腸を刺激して下痢や嘔吐を発症する場合もあるのです。
ぶどうやレーズン
ぶどうやレーズンを食べさせると、犬は腎不全を発症すると言われています。
レーズン自体は甘いので、犬はレーズンパンなどを盗み食いしようとしますので、犬の届かないところに置くなどして管理に気をつけるべきです。
ぶどうによる食中毒は、比較的最近発見されたもので原因が解明されていません。
そのため、どの部分が中毒を起こすのかがわからないのです。
ぶどうの種から作った、グレープシードオイルも使わないようにしましょう。
ドッグフードにもグレープシードオイルが使われている事があるので注意が必要です。
キシリトール入りの食べ物
低血糖や急性肝不全を起こす危険があります。
キシリトールは人の虫歯予防にはなりますが、犬には効果がないので、犬のおやつなどに入れないようにしましょう。
また、未だに犬用の歯磨きガムなどのものにキシリトールが含まれた商品がありますが、オススメできません。
ジャガイモの芽
人間も、ジャガイモを調理する際には芽を取り除きますよね。
これは、ジャガイモの芽にソラニンという毒が含まれているからです。
ソラニンは犬にも毒になりますので、芽はしっかり取り除きましょう。
また、ジャガイモの皮をむいたときに緑に変色したところもソラニンが含まれているので注意が必要です。
硬く、胃などの消化器を傷つける可能性のあるもの(大きな骨や魚のアラなど)
犬は人間のように、器用に骨を除くことができません。
そのため、ごはんの中に硬い骨が入らないように注意しましょう。
魚のアラを使った料理を与えたい場合は、指で潰せる固さにまで圧力鍋で煮込むなどしましょう。
簡単な作り方→骨ごと食べられる手作り鮭缶
鮭以外にも鯛やブリのあらなども圧力鍋で15分加圧、一旦冷まして水が少なくなったら水を再度入れて15分加圧すると、骨がボロボロに潰せるようになります。
指で骨が潰せるようになると太い骨でも、犬が口にしても良いです。
チョコレート・ココア
チョコレートに含まれる、テオブロミンが心臓や中枢神経を刺激して嘔吐や下痢を引き起こします。
最悪の場合には、ショック状態や急性心不全を起こすこともあるので注意が必要です。
カフェインを含むもの(コーヒー、紅茶、緑茶など)
飲ませると、不整脈を引き起こす可能性があるので、飲ませないでください。
玄米
白米よりも玄米の方が体に良いからと、手作りごはんに玄米を取り入れようとする飼い主さんも多くいらっしゃいます。
しかし、玄米は消化が難しいので手作りごはんを始めたうちは使うのを控え、だんだん玄米を加えて慣らしていくのが無難です。
ごはんの温度は熱すぎず、冷たすぎずの適温を!
犬は猫舌なので、基本的に熱いものを食べることができません。
ごはんは常温〜人肌程度の温度で与えるべきです。
できたてをあげたい飼い主さんの気持ちもわかりますが、愛犬のためにもごはんの温度は確認しましょう。
冷たいごはんは香りが立ちにくく、犬の食欲がそそりにくくなります。
また、冷たいごはんは体を冷やしてしまいお腹が緩くなることもあるので気をつけましょう。
犬のごはんに味付けはいらない!
基本的に犬のごはんに味付けは必要ありません。
人間が食べて美味しいと感じる味付けは、犬にとっては強烈に濃い味なのです。
そのため、濃い味は犬の健康を害してしまうだけでなく、ドッグフードなどに興味を持たなくしてしまいます。
そのため、犬のごはんで大切なことは素材の味を引き出すことです。
犬の食欲を刺激する上でごはんの「香り」は欠かせない!
犬の嗅覚は、人間の100万倍以上と言われ、匂いを嗅ぎ分ける力に優れています。
そのため、手作りごはんは犬が「好き」と感じる香りを引き立たせる事が大切です。
逆に、味を感じる味蕾の数は人間の約1/5だと言われていて、舌で味を判断する能力はあまり高くありません。
こういった理由から、犬に与える手作りごはんは味よりもいかに食欲をそそる香りを出せるかが大切です。
犬用手作りごはんの本などでは、よく綺麗に盛り付けられた写真を目にします。
しかし、犬からしてみれば盛り付けが綺麗だからといって食欲は増しません。
盛り付けよりも、犬にとって大切なのは香りです。
お肉と野菜の土鍋蒸しにチャレンジされた飼い主さんのご相談を紹介します。
飼い主さんは、盛り付けまで完璧にして愛犬にごはんをあげたところ、愛犬はお肉だけをパクパク食べて野菜はまずそうに吐き出してしまったそうで何がダメだったか知りたいという事でした。
ダメだったポイントは3つあります。
盛り付けが綺麗すぎると、犬は食べたいお肉だけ選んで食べる事ができてしまいます。
蒸し野菜は、香りが淡白で犬の食欲が興味を持ちにくいのです。
蒸し終わってから、食べる直前に犬の好きな香りのするごま油を少しかけてあげると食べてくれたかもしれません。
野菜にも、肉の味が染み込んでいないと、犬は野菜をおいしく感じる事ができません。
野菜を食べ慣れていない犬は、ゴロゴロしている野菜は苦手です。
そこで、野菜慣れしていない犬でも野菜を食べてくれるテクニックを紹介します。
野菜をフードプロセッサーにかけてみじん切りにした後、ミンチ肉と混ぜてハンバーグ状にする!
この作業をするだけで、犬は野菜を選り分ける事ができないので、野菜もお肉と一緒に食べてくれます。
手作りごはん初心者で野菜を食べ慣れていない犬にはオススメです。
初心者でもわかる!犬用手作りごはんのコツ
手作りごはんへの第一歩
手作りごはん初心者がはじめに学んでおきたいテクニックを説明します。
野菜、特に葉物野菜には甘みが少ないので苦手とする犬が多いようです。
手作りごはんを与え始める際には、まず甘みの多い芋やかぼちゃなどの野菜や、歯ごたえのいいブロッコリーを与えましょう。
犬が食べやすい野菜で慣らすことから始める事が大切です。
また、みじん切りにした野菜を挽き肉と混ぜてハンバーグにすると、野菜を選り分けることが難しいので、野菜ごと食べてくれます。
手作りごはんを作る際には、野菜をみじん切りにして刻む機会が多いです。
毎度の手間を省くために、時間があるときに、まとめてたくさん刻んで冷凍しておきましょう。
一度冷凍した野菜は、細胞壁が壊れるので火の通りが早くなるというメリットもあるのでオススメです。
朝夕で、タンパク源(お肉や魚など)を変えてしまうと犬にアレルギー症状が出た時、原因が特定しにくくなります。
そのため、朝に豚肉のごはんをあげたら、夜も豚肉のごはんをあげるのが良いです。
まずはトッピングごはんにチャレンジ
手作りごはんを作る時間がない人や手作りごはんの初心者にオススメな「トッピングごはん」を紹介します。
トッピングごはんとは普段のドッグフードにちょっと野菜やお肉を足したごはんのことです。
トッピングごはんをあげれば、犬が野菜やお肉などの素材そのままの食べ物を消化する練習にもなり、手作りごはんへの導入にもなります。
しかし、トッピングごはんにもいくつかの注意点があるのです。
質のいいドッグフードは(1kg2000円〜3000円のフード)、原材料として使われる炭水化物の量が少ない傾向があります。
これは、犬にはそこまで多くの炭水化物は必要ないからです。
せっかく、質のいいドッグフードにさらに必要のない炭水化物をトッピングすべきではありません。
だし汁やスープと聞いて、「具を足さないの?」と思った方も多いでしょう。
しかし、トッピングの際には水分を加えることを最も意識してください。
なぜなら、お麩と同じ水分量しかないカリカリのドライフードを犬は食べ続けていて、水分が足りないからです。
水分を加えるだけならば、水を注ぐだけでもいいのですが、一手間加えてだし汁をかけると犬も喜んでくれます。
オススメの出汁は「水出汁」です。
瓶にかつお節一つかみと昆布を入れて水を注ぐだけの簡単なレシピになります。
かつお節は、犬用よりも高品質・低価格のいつも使っている人用のかつお節を使ってください。
自分たちの料理のだし汁としても使えるので、冷蔵庫に常備しておくのがオススメです。
水出汁の他にも、電子レンジで簡単に1番出汁やボーンブロスという西洋風の出汁などを取ることもできます。
日によって、様々な出汁を使い分けるのもいいですね。
出汁は香りが良いので犬の食いつきもよくなります。
「電子レンジで簡単ボーンブロス(西洋風だし汁)」のレシピはこちら
ほうれん草や、人参、かぼちゃなどの野菜パウダーを混ぜてふりかけのようにトッピングしてみましょう。
このふりかけは、野菜のトッピングに慣れる練習にもなるのでオススメです。
また、犬の好きな香りをつけるためにふりかけにすりごまやきな粉を入れても良いトッピングになります。
旬の野菜は栄養価がとても高いので、積極的にトッピングに取り入れましょう。
具体的な調理例としては、先ほどの水出汁とかつお節を入れた鍋に、旬の野菜を入れて煮込むだけです。
旬の野菜の具体例としては、春はキャベツ・人参・セロリ、夏は山芋、秋はさつまいも・かぼちゃ・ビーツ(ボルシチに使われる野菜)、冬はカリフラワー・ブロッコリー・カブ・大根などが挙げられます。
山芋はすりおろして少し水出汁を加えたらとろろかけご飯風にしたり、大根も大根おろしにしたりするなどしてトッピングも可能です。
トッピングする際に、ドッグフードと相性がタンパク源はドッグフードに一番多く入っているタンパク源と同じものです。
ドッグフードのパッケージを見て、先頭に書いているものがフードで一番多く入っているものになります。
例えば、先頭に「チキン」と書いてあれば、「鶏肉系」のトッピング(鳥のレバーや砂肝など)をプラスすると良いです。
犬の嗅覚を刺激するオススメメニュー3選
マグロのアラをスーパーで見かけたらぜひ買って、自家製ツナを作ってください。
マグロのアラには、独特の臭い血合いが多く含まれます。人には少し生臭いですが、犬はこの生臭さにメロメロで、抜群の食べっぷりです。
このツナは、煮汁ごと小分けにして冷凍することが可能です。
ドッグフードのトッピングや、煮汁ごと使ったおじやなどにしてもOK。
また、煮汁を少し加えたツナをフードプロセッサーにかければ、老犬でも飲み込みやすい手作り介護食にも変身します。
犬の大好きな香りで、応用もしやすいオススメレシピです。
ぜひ、煮汁も栄養たっぷりなので捨てないで飲んでもらってくださいね。
犬にゴーヤって大丈夫なの?と思われる方もいるでしょう。
しかし、意外にも犬はゴーヤを食べてくれます。
ゴーヤチャンプルーにして、犬に食べさせる時のポイントはごま油で炒めることです。
ごま油で炒めることで、ゴマの香りが犬の嗅覚を刺激して食欲を増進します。
あっさり仕上げたい時は、豚肉を豆腐と卵に変えてもOKです。
愛犬の分を取り分けたら、残りを塩コショウで味付けして自分も食べることもできます。
愛犬と同じごはんを食べることができるって素敵ですよね。
海老の香ばしい香りが、犬の嗅覚をくすぐります。
犬よりも嗅覚の劣る人間でもその香りが食欲をそそること間違いなしです。
手作りかっぱえびせんは普段の手作りごはんで不足しがちなカルシウムを手軽に補うことができる、「香り良し」、「味良し」、「栄養良し」の一石三鳥のレシピです。
犬用手作りごはんのレシピが載っているオススメサイト、本
ここでは、筆者も参考にしている、手作りごはんのレシピが乗っているサイトや本を紹介します。
みなさんご存知の方も多いであろう「クックパッド」は料理のレシピサイトです。
筆者は、クックパッドにある人用のレシピを参考にして「このレシピは犬にこうアレンジしたらいいかな」などと考えるのに役立てています。
また、クックパッドには犬用のレシピも載っているので、そこを参考にするのも良いでしょう。
筆者は空飛ぶ料理研究家の村上先生の本も参考にしていて、実は村上先生の料理教室に毎月通っているのです。
一人暮らし向けの少量レシピや、電子レンジを活用したレシピなどを参考にして犬用のごはんのレシピを考えています。
犬に手作りごはんを与える4つのメリット
手作りごはんをあげるようになると、犬の食べっぷりのチェックやちゃんとごはんが消化されているかと思いウンチもチェックするようになります。
これはとても重要なことで、犬の「いつもの状態」を把握することができるのです。
「いつもの状態」がわかっていれば、「犬があんまりごはんを食べない」などのいつもと違う時、違和感に気づきやすくなって病気などの発見にも役立ちます。
ドッグフードだと、犬の食事中の様子やウンチの状態まで気にすることも少ないですが、手作りごはんにすれば、犬のことをより一層観察する目を養うことが可能です。
以下では特に見ておくべきポイントを説明します。
ウンチマスターになるべし!
ウンチは体調の変化を教えてくれるわかりやすいサインです。
そのため、下の表を参考にしてウンチの色をチェックしておきましょう。
色、見た目 | 黄色っぽい | 黒色っぽい | てかてかしている |
わかる事 | 野菜が多い | たんぱく質が多い | 脂肪が多い |
ウンチの色だけでも、ごはんに何が多すぎて、何が足りないかがわかるのです。
手作りごはんでは、このようにウンチの状態を見て、材料の分量を調節しましょう。
また、犬のウンチを片付けたことがある方ならわかると思いますが、犬のウンチはかなり臭いです。
しかし、手作りごはんにするとその匂いが減っていく傾向があります。
そのため、片付けたウンチがとても臭いと思ったら、犬の体調が変化してるとわかるのです。
手作りごはんとドッグフードの一番の違いは食事に含まれる水分の量です。
水分たっぷりの手作りごはんを食べることで、おしっこの量が増えてデトックスがうまくいきます。
特に、耳の汚れがひどい犬や皮膚病の犬は水分たっぷりの食事を食べて、デトックスをすることでその症状が緩和されることもあるのです。
犬に、水を意識して飲ませることは難しいので、食事と一緒に水分を摂ってもらいましょう。
手作りごはんでは、犬のその時の状況に合わせた完全オーダーメイドのごはんを作ってあげることが可能です。
筆者の愛犬の場合、認知症予防として意識的に魚の多いごはんをあげています。
たくさん運動した後には筋肉の修復をサポートするために少し肉の量を増やしたり、フィラリアのお薬を飲む前後には肝臓をサポートするために、レバーやターメリックを使った食事をあげることもできるのです。
手作りごはんでは、旬の食材を使うことができることもメリットになります。
旬の食材は、「栄養価が高く」、「いつもよりも美味しく」、そして「安い」といいいことづくめなのです。
自分の食事にも、愛犬の食事にも旬を取り入れれば、愛犬と一緒に季節を味わうことができます。
犬に手作りごはんを与える4つのデメリット
手作りごはんはメリットばかりではありません。デメリットもあります。
このデメリットをきちんと理解して、取り組む事が大切です。
手作りごはんで水分が多く摂取できることは、デメリットにもなります。
手作りごはんを与え始めた初めの頃は、ドックフードに慣れた犬の大腸は大量の水分を吸収することに対応できない場合もあり、お腹がゆるくなってしまうこともあるからです。
ドッグフードから手作りごはんに切り替える際は、1ヶ月程度ドッグフードと手作りごはんを併用するなどして、お腹を手作りごはんに慣らしていきましょう。
ドッグフードと違って、手作りごはんはやはり作る手間がかかります。
料理が好きな方には苦では無いかもしれませんが、普段料理をされない方にとっては大変なことです。
調理の手間をいかに省いたり、暇な時に一気に食材の下ごしらえをするかが、重要になってきます。
また、忙しくてどうしても作れないなんて時は、手作りごはんをお休みしても大丈夫です。
手作りごはんをお休みして、ドッグフードをあげても、犬たちはびっくりするくらいドックフードを食べたりもします。
我が家の愛犬二匹も、たまにドッグフードをあげると大喜びで食べますよ。
手作りごはんは保存料を入れない都合でやはり、保存がききにくいです。
作り置きしたものは、冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存しましょう。
気温の高い夏にごはんを持ち運ぶの際にも保冷剤などを入れることも大切です。
また、ペットホテルに犬を預ける際には冷蔵庫の容量の関係で、手作りごはんの持ち込みを断られる場合もあるので注意しましょう。
手作りごはんを作る際には、犬が中毒を起こす食材や栄養バランスなどに関する知識も必要です。
手作りごはんならなんでも健康にいいと考えて、適当にごはんを作ると返って犬の健康に悪影響を及ぼすこともあります。
カウンセリングをしたお客様が、お粥にさつまいもとかぼちゃを入れただけのごはんを与えていた事もありました。
お客様は「この子は体が弱くてすぐに入院する」と言っていましたが、体が弱いのではなく明らかに栄養失調でした。
このように「手作りごはんの方が体にいい」と聞いた程度で、栄養バランスを考えないで与えた食事は、犬にとって危険な食事になる事もあります。
シニア犬にも手作りごはん
シニア犬にも手作りごはんをオススメする3つの理由
シニア犬になると持病との兼ね合いから市販のフードを与えることができなくなったりします。
そんな時でも、手作りごはんは食べてもいい食材だけで作ることができるのでオススメなのです。
シニア犬になると、食べるものも気分で変わります。
そういう時、手作りごはんだと冷蔵庫の中の、犬が食べていい食材を差し出して、口にするか確認しましょう。
そうすれば、その食材ならば食べることがわかった上で、ごはんを作ることができます。
ドッグフードでは、このような臨機応変な対処はできません。
介護食って、特別な加工が必要などと考える方もいると思います。
しかし、犬の介護食はこれまで説明した手順で手作りごはんを作って、それをミキサーやフードプロセッサーにかければ完成です。
シニア犬にオススメの食材3選
甘酒(ノンアルコール)
近年、「飲む点滴」として注目されている甘酒は老犬にもぴったりです。
甘酒にはビタミンや食物繊維など様々な栄養が含まれていて、実際に犬が打つ点滴と同じ成分が含まれています。
普段の水分補給の1つとして、毎日少量飲ませてあげると免疫力もアップしてオススメです。
犬はアルコールを分解できないので、ノンアルコールの甘酒を使いましょう。
卵
卵は、茹でる、炒めるなどのような調理法が多くあるだけでなく、アミノ酸のバランスがとても良いの食材でもあります。
昔は、人が1日に食べていい卵は1個までとも言われていましたが、栄養面などのメリットがわかり、むしろ今は1日2個は食べましょうと言われるほどの食材です。
また、卵の中に含まれるコリンという成分は脳を活性化する働きがあるとも言われています。
このようなメリットいっぱいの卵をぜひ犬たちの食事にも取り入れましょう。
砂肝
シニア犬になると、貧血気味になる犬もいます。
鉄分とビタミンB12を一緒に摂取すると貧血予防になると言われますが、砂肝にはそのどちらの成分も含まれているのです。
そのため、貧血対策に砂肝はオススメできます。
また、砂肝には新陳代謝を活発にしたり、細胞を再生すると言われる亜鉛も多く含まれています。
砂肝は歯応えのある食材ですが、うまく調理すれば、手でちぎれるほど柔らかくなるので、ぜひ老犬のごはんに使って欲しい食材です。
シニア犬にオススメのレシピ
シニア犬にオススメの食材を使ったレシピを紹介します。
甘酒ヨーグルト
甘酒はそのまま飲ませても、大丈夫ですがヨーグルトと混ぜることで、ほのかな甘みが犬の嗅覚を刺激して食欲増進にもつながります。
また、発酵食品の組み合わせは腸内環境の改善にも役立つのでオススメです。
お好み焼き
お好み焼きは野菜、肉、卵などのたくさんの種類の食材を取れてオススメです。
シニア犬になると食べやすいように小さく作りがちですが、小さく作ると熱が当たる面が多くなって硬くなってしまいます。
大きく作った後に、切ってあげるようにしましょう。
野菜はお好みの野菜を使ってください。また、冷凍も可能です。
手でちぎれる!柔らか砂肝
圧力鍋を使えば、硬い砂肝も手でちぎれるほど柔らかくなります。
また、煮汁にも栄養があるのでぜひ飲ませてあげてください。
シニア犬にごはんをあげる際の注意点
シニア犬になって手作りごはんをあげる際に、特に注意すべき点を説明します。
牛乳を飲むことで中毒を起こすことはありませんが、牛乳に含まれる乳糖を分解できる酵素を持っていない犬は多くいます。
そのため、普通の牛乳を飲ませると下痢を起こすこともあるので注意が必要です。
特に、若い頃は大丈夫だった場合でも、シニア犬になるとお腹の調子も狂いやすくなるので気をつけましょう。
どうしても、牛乳をあげたい場合はペット用の牛乳か乳糖の含まれていない「お腹がゴロゴロしない牛乳」をあげるのがオススメです。
普段から犬の食事では、味よりも香りが大切と書きましたが、シニア犬になるとさらに意識が必要です。
なぜなら、シニア犬になると、他の感覚器官が衰えて不自由になった分を嗅覚で補おうとするので食事の香りもしっかりと立たせてあげましょう。
シニア犬になると、一回の食事では体に必要な量の食事を食べきる事ができません。
単に、食事が胃に入らない事だけでなく、食事という行為自体に疲れてしまって、途中で食事を中断してしまう事もあるのです。
食べきれないからといって、食事を減らしてしまうと食事量が足りず犬が痩せてしまいます。
食事を中断しても、犬が起きたらまた食べてもらうという感覚で食事を見守ってましょう。
犬は年を取ると、口や下の力が衰えてくるので、食事を平らに盛り付けると、シニア犬には食べにくいです。
皿を傾けるなどの方法もありますが、ペースト状の食事は円錐状に盛り付けるとパクパクと食べてくれるようになります。
また、食事中にごはんが平らになったら円錐状に盛り付け直してあげることも大切です。
シニア犬の食事では、食事をいかに食べやすくするかがポイントになってきます。
床にお皿を置いてしまうと、犬は体をかがめる必要があるので本当は食べにくいのです。
食器台や100均のプランタースタンドなどを使って愛犬の食べやすい高さにお皿を置くようにしましょう。
自分にぴったりな犬を選ぶ方法
これまで、犬の手作りごはんについて書いてきました。
この記事を読んでいる方の中には、「二匹目が欲しい」、「今の犬と相性が合わない」なんて思っている方はいませんか?
ここでは、ドッグトレーナーでもある筆者がオススメする犬の選び方について説明します、
犬選びの基本
ショップの店員さんやブリーダーさんは、犬が欲しい人に「抱いてみますか?」と尋ねることがあります。
しかし、大抵の人は抱っこしてしまうとそのまま連れて帰りたくなってしまうので、本当に自分にあった犬を探している際は、店員さんの甘い言葉には注意が必要です。
あなたが、アウトドア派ならば、大型犬や活動量の多いボーダーコリー、ジャックラッセルテリア、柴犬などがオススメです。
また、あなたがインドア派ならば小型犬がオススメです。
しかし、小型犬は部屋の中で走り回るからといって散歩が要らないわけではないので注意しましょう。
抜け毛が気になる方は、プードルやヨークシャテリアなどの抜け毛の少ない犬種がオススメです。
しかし、抜け毛が少ない犬種は毛が絡まりやすいので毎日のブラッシングや最低でも月一回のカットを行う必要があることに注意しましょう。
また、その他の犬種がいい人で、抜け毛が気になる人は長毛種を選ぶのがオススメです。
長毛種の抜け毛はコロコロで取り除くことができます。
短毛種、特に和犬やコーギーなどは、抜け毛が服やソファーなどに刺さって繊維に入り込んでコロコロでは処理しずらいのです。
自分にぴったりの犬を選ぶ3つの裏技
筆者の経験から編み出した、自分に最適な犬を選ぶ裏技を紹介します。
人間が犬を選ぶ際には、「頭で考える」ことが多いですが、犬は「心で感じる」ので、初対面で寄り添ってきた子は自分と相性がいいと犬が判断した証拠です。
そういった犬を家族に迎え入れると、意思疎通しやすくなるので犬育ても楽になります。
見た目で選んでしまうと、相性が悪くて後々トラブルを抱えることもあるので注意が必要です。
よく、「女の子の方が初心者には飼いやすい」と言われていますがそれは間違いです。
ポイントになるのは、犬が一回で産んだ犬の男女比にあります。
例えば、男の子3頭、女の子1頭の場合、女の子は母親のお腹の中で男性ホルモンのシャワーを浴びる機会が多いので、男の子と間違えられるほど活発になることもあるのです。
逆に、男の子1頭、女の子3頭の場合は、男の子はおっとりした子になる確率が高くなります。
男の子が欲しいけど、やんちゃな子は困るなんて人は女兄弟の中で唯一の男の子を狙うと良いです。
ショップで兄弟犬の頭数や比率を聞く方は少ないですが、一度聞いてみましょう。
同じ種類の犬もよく見てみると、足の長さが違います。
足の長い子は、比較的活動量が多く、動きも速いです。
逆に、足の短い子は、活動量は少なめで、ゆっくりとした動きをします。
犬の活発さを知るために足の長さをチェックすることは役に立つのです。
愛犬と相談しながら、手作りごはんをあげましょう
この記事では、犬にあげる手作りごはんをメインに書いてきました。
ごはんをあげる上で、知識は必要ですがそれに縛られ過ぎると飼い主さんが大変になってしまいます。
別に、100%手作りごはんにする必要はないのです。
食事は愛犬にとっても楽しみの1つであり、手作りごはんは飼い主と愛犬との思い出作りにもなります。
ただ、せっかく作ったのに食べてもらえないのでは、心が折れてしまうので、犬の嗅覚をくすぐる香りを引き立たせた食事を作るように心がけましょう。
この記事を読んで、犬の手作りごはんに実践してもらえると幸いです。